最近では火星への人類の移住が現実的な話題として取り上げられています。NASAやSpaceXなど、世界的な宇宙機関や企業が火星探査や有人飛行の計画を進めています。しかし、火星で人間が生きていくためには、どのようなことが必要なのでしょうか。
火星で住むための条件・必要なこと
酸素
人間は通常20.9%の酸素濃度下で生活しており、たった18%を下回ると酸素欠乏症となり安全に絶大な影響を与えてしまいます。人間の生存には1日約20kgの酸素量が必要で1回の呼吸で約0.5gの酸素を吸い込んでいます。
適切な気圧
適切な気圧下での生存が重要です。極端な低気圧や高気圧は人体に悪影響を与える可能性があります。エベレストの気圧は約300hPaとされていますが、これは人間が生存可能なギリギリの気圧とされています。
適切な温度範囲
体温の調節ができる範囲の温度が必要です。人間の身体は湿度にもよりますが-50°〜50°までなら耐えられるようです。人間が快適に過ごせる適切な温度範囲を維持するための熱制御が必要です。
飲料水と栄養摂取
水と栄養素は生存に不可欠です。体重50キロの人は1.7リットルの水分を摂ることが最低ラインです。4~5日間水分を取らなければ命を落とします。なので適切な飲料水と栄養摂取の手段が必要です。
放射線防護
宇宙空間や他の惑星では、強力な放射線にさらされる可能性があります。現在、1年間で50ミリシーベルト以下が法律で定められている最大量です。長期的な放射線暴露は健康に悪影響を与えるため、放射線防護対策が必要です。
重力
長期間の重力の欠如は、骨密度の減少や筋力の低下などの問題を引き起こす可能性があります。適切な重力環境を提供することが重要です。
これらの条件は、宇宙探査や将来の有人宇宙飛行の計画において重要な事項です。火星での生命維持には大気、水、食料、適切な気温、そして防護などが必要です。現在の火星の環境は、これらの要素のほとんどが不足しています。火星の大気は約95%が二酸化炭素で、酸素は0.13%しかありません。また、火星の気温は低く、平均でマイナス63度と非常に寒いです。
火星には実は四季がある
実は火星には四季があります。火星の1日の長さは地球とほぼ同じ24時間40分なのだが、太陽との距離が地球より離れているため一年は687日あります。そのため春夏秋冬は それぞれとても長いです。火星では春は約200日、夏が約182日、秋が約146日、冬が約160日で四季の長さは安定していません。火星の式の変化は地球からも確認することができます。
宇宙・火星での生活の課題
宇宙で生活するためには、まず呼吸するための酸素を確保する必要があります。
現在の技術では、火星の二酸化炭素を分解して酸素を作り出すことが可能だとされているのでこの問題はいずれ解決されるでしょう。
次に水分です。水を得るためには、火星の極地や地下に存在する氷を探し、溶かすことが考えられます。食料については、食品を持っていくか、または火星で農業を行うことで解決することを目指しています。
ある映画で火星に置き去りにされた男が宇宙船の中で自分の肥やしを使い芋を作るということをおこなっていましたね。『オデッセイ』宇宙好きにはたまらない映画です。
また、火星の表面は宇宙線や太陽風にさらされているため、これらから身を守るための適切なシェルターが必要です。さらに、火星の一日は地球の一日よりも長く、季節の変化や気候も地球とは大きく異なります。これらの違いに対応する生活習慣を身につける必要があります。
火星に行くために今、人類がしていること
火星探査車の派遣『火星に住むために必要なこと』
NASAのキュリオシティやパーシビアランスなどの火星探査車が、火星の地表を調査し、環境や地質のデータを収集しています。これにより、将来の有人ミッションのための情報を得ることができます。
火星探査車は、火星の表面を探索し、岩石や土壌のサンプルを収集し、火星の気候や地形の詳細を調査しています。
火星行き宇宙船の開発
NASAや民間企業のスペースXなどが有人宇宙船の開発を進めており、火星への有人ミッションのための技術や設備を開発しており、長期間の宇宙滞在や往復の安全性、生命維持システムなどさまざまです。有人宇宙船の開発には、宇宙船の耐久性、再突入時の熱保護、人間の健康管理などの課題を解決するための研究が行われています。
火星に住むための計画
[NHKスペシャル] 火星で暮らす未来がすぐそこに? | ヒューマン・エイジ 人間の時代 プロローグ さらなる繁栄か破滅か | NHK
火星に永久的な居住地を建設するための構想が存在します。
例えば、NASAの「マーズベースキャンプ」やスペースXの「スターシップ」計画などがその一例です。これらの計画では、火星上にエネルギー供給設備などを建設し、人々が居住できる基地を構築することを目指しています。基地の設計には、人間の生活環境の確保、食料や水の供給、エネルギーの調達などが重要な課題となります。
火星で住むための研究
火星の極端な環境における生命維持技術の研究が行われています。例えば、植物の栽培や酸素の生成などの研究が進められ、火星上での持続可能な生活を実現するための手段が模索されています。また、閉鎖的な環境での廃棄物処理やリサイクルシステム、放射線防護システムなど課題はさまざまあります。
国際的な火星移住計画
火星への有人ミッションに向けて、国際的な協力と研究が進められています。NASAとESA(欧州宇宙機関)は、火星のサンプルリターンミッションで協力し、火星からのサンプルを地球に持ち帰る計画を進めています。また、国際的な宇宙ステーションである国際宇宙ステーション(ISS)においても、火星ミッションに向けた技術や生命維持システムの研究が行われています。
【おまけ】火星の豆知識
豆知識①|火星の1日は地球よりもわずかに長く、約24時間と37分です。
豆知識②|火星の1年は地球の約2倍の長さで、687地球日かかります。
豆知識③|火星は地球から約2億2500万キロメートル離れています。
豆知識④|火星には大気が薄いため、空は青くなく、ほとんどの時間オレンジ色かピンク色に見えます。
豆知識⑤|そして、火星の夜は地球よりもずっと寒く、気温がマイナス100度Cに達することもあります。
【まとめ】
火星への人間の移住は現在、各研究施設が勢力を行っており、そう遠くない未来住むことができるようになるでしょう。
人間が火星で生き抜くためには、大気と圧力の調整、水供給、食料生産、放射線防護、心理的健康の維持、そして持続可能なエネルギー供給といった多くの要素が必要です。また、心理的ストレスに対処することも必要です。火星を含め宇宙での生活は未知の領域であり、これらの課題を理解し解決策を見つけるための研究が進行中です。この挑戦は、未来の科学者と技術者たちが引き継ぎ、持続可能な宇宙生活の実現に向けた一歩となるでしょう。
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