望遠鏡を選ぶとき、注目されるのは『倍率』ですが実は倍率が高いだけでは望遠鏡の性能は測れません。
倍率が高いと、遠くの物体をより大きく見ることができるという印象を持つかもしれません。しかし大きくして見るということにはデメリットもあります。
ではそのデメリットがどういったものか、望遠鏡を選ぶときには何が一番大切なのか見て行きましょう。
口径の重要性は天体観測のカギ
望遠鏡を選ぶ時、一番重要な要素は倍率ではなく口径です。では口径とは何でどういったものなのか見て行きましょう。
口径とは何か？
口径とは、望遠鏡の最も前面にあるレンズや、反射望遠鏡の場合は主鏡の直径のことを指します。つまりはレンズの大きさのことです。
なぜ口径が重要かというと、口径が大きいほど、多くの光を集めることができ、その結果、暗い天体も明るく見えるようになります。
例えば、口径が50mmの望遠鏡と、口径が100mmの望遠鏡があった場合、100mmの方が面積が4倍大きいため、簡単に考えると4倍多くの光を集めることができます。これにより、より詳細な観察や、暗い天体の観測が可能となります。
口径は望遠鏡の性能を示す最も重要な要素であり、望遠鏡を選ぶときにはこの口径の大きさが大切です。
口径のサイズ≒望遠鏡の性能？
口径が大きい望遠鏡は、より多くの光を集めることができます。
これにより、暗い星や遠くの天体もはっきりと見ることができるようになります。例えば、小さい口径の望遠鏡では見えなかった遠くの星雲も、大きな口径の望遠鏡では鮮明に観察することができます。
『口径の大きさ≒望遠鏡の性能』と思ってもらって問題ありません。
実際に日本で一番大きな望遠鏡である兵庫県立西はりま天文台の『なゆた望遠鏡』は口径が2mもあります。なゆた望遠鏡はなんと100億光年先のものまで見ることができると言われています。
なぜ倍率だけではダメなのか？
基本的に倍率を上げるということはもの大きく見ることにつながります。
そうした事をご存じの場合、望遠鏡の購入の時にはとりあえず高倍率のものを探してとりあえず高倍率にできるものを購入してしまいがちです。
しかし倍率が高いだけのものだと2つの問題が発生してしまう可能性があります。
理由①明るさが足らない
夜空の星を見るときには、星の明るさはとても大切です。
倍率だけが高くて口径が小さい望遠鏡では、物は大きく見えるけれど、明るさが足りずに暗くてよく見えないことがあります。
これを解決するには倍率ではなく、望遠鏡の「口径」という部分が、光をどれだけ集めることができるかが非常に重要になってきます。
口径が大きければ、たくさんの光を集めることができ、暗い場所でもはっきりとしたものを見ることができます。
理由②大きくみえるだけでぼやけたものが映る
倍率が高いと、遠くのものを大きく見ることができます。
しかし、その望遠鏡の「解像度(分解能)」という性能が低いと、大きく見えるだけで、実際にはぼやけたものが映ってしまいます。解像度が高いと、細かい部分もはっきりと見ることができます。
この解像度の性能は口径の大きさに比例します。遠くにある天体を見るときは特に、倍率だけが高くても、ぼやけてよく見えないということになってしまいます。
望遠鏡の構造！倍率は後から変えられる
望遠鏡は対物レンズと接眼レンズ(アイピース)に分かれています。
望遠鏡によってはこの接眼レンズを変更することができ、それによって観察する天体の大きさ、つまり倍率を変えることが可能です。
対物レンズは、遠くの光を集めて一つの点に集中させる役割を持っています。一方、接眼レンズは、その集められた光を拡大して目に映し出す役割を果たします。接眼レンズを変えることで、倍率の度合いを調整することができるのです。
例えば、接眼レンズの焦点距離が短いものを選べば、より高い倍率で天体を観察することができます。逆に、焦点距離が長い接眼レンズを選べば、倍率は低くなりますが、より広い範囲の天体を一度に見ることができます。
このように、望遠鏡の接眼レンズを変えることで、その場で簡単に倍率を変更することができるのです。観察したい天体やその日の目的に合わせて、接眼レンズを選ぶことで、より楽しい天体観測ができるようになります。
まとめ
望遠鏡の性能を示す際に倍率だけを重視するのは誤りであることを解説しました。
望遠鏡の「口径」がその性能を大きく左右する重要な要素であり、口径が大きいほど多くの光を集めて明るく鮮明な観察が可能となります。
倍率が高くても口径が小さければ、詳細な観察は難しいことも。望遠鏡を選ぶ際は、倍率だけでなく口径の大きさも考慮し、真の性能を理解することが大切です。倍率だけに囚われない望遠鏡の選び方をしましょう！
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