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【初夏】夜空を彩る星座たち-春の星座・夏の星座-

5月は、春から初夏への移り変わりを感じる季節です。この時期の星空には、さまざまな美しい星座が見られます。今回は、5月に観測できる7つの星座について紹介します。

もくじ

おおぐま座 (Ursa Major)

この星座は、大きな熊という意味であり、古くから熊の姿になぞらえられていました。おおくま座は、北極星付近の空に広がっており、大小両熊座は「二つの熊」と呼ばれることが多いです。また、おおくま座に含まれる7つの明るい星々は、日本では「北斗七星」として親しまれています。

おおくま座は、一年を通じて観察することができ、春には真上にあるため特によく見えます。北半球の観測者にとっては、おおくまた座が目印となって北極星を見つけることができます。ビッグディッパー(大熊座の一部)の2つの星、メラクとドゥベを結んだ線を延長することで、北極星が見つかります。

おおくまた座には、多くの興味深い天体が存在しています。その中でも最も有名なのは、M81とM82です。この2つの銀河は、視差を利用しておおよそ1200万光年離れた位置にあると推定されており、おおくま座の中で特に目立つ天体となっています。

また、おおくま座には、さまざまな種類の変光星や二重星が存在します。その中でも、アルコルとミザールは、肉眼でも見分けることができる二重星として知られています。

おおくまた座は、古代から天文学や神話において重要な役割を果たしてきました。その形状や、北極星を見つける手がかりとなるビッグディッパーなど、多くの観測者にとって親しみやすい星座であることから、今でもその人気は衰えることがありません。

うしかい座(Bootes)

星座のひとつで、古くから知られている星座の中でも特に明るい星々が多く含まれています。うしかい座は、春から初夏にかけて最もよく見られる星座の一つで、約88の星座の中でも大きな面積を持っています。

うしかい座の名前は、ギリシャ語で「牛飼い」を意味する言葉に由来しており、ギリシャ神話では神々が牛に姿を変えて逃げる際に、牧人に変身した神が牛を追いかける姿が描かれていることからこの名前が付けられたとされています。また、この星座はローマ神話でも記述されており、牧神パンの父であるヘルメスが牛を追う姿として描かれています。

うしかい座には、多くの明るい星が存在しますが、中でも最も有名なのがアークトゥルス(アルクトゥルス)です。アークトゥルスは、全天で第3位の明るさを誇るオレンジ色の巨星で、うしかい座の足元に位置しています。また、うしかい座には二重星や変光星、銀河など、さまざまな天体が観測されています。

うしかい座は、北極星やビッグディッパーを目印に見つけることができます。まず、ビッグディッパーの取っ手の部分を真っ直ぐ延長すると、アークトゥルスが見つけられます。その後、アークトゥルスを中心とした星々が、牛飼いの姿を思わせるような形をしていることから、うしかい座が特定できます。

観測者にとって、うしかい座は春夜空の目印として非常に重要な役割を果たしており、また、天文学や神話の世界でも重要な存在とされています。

乙女座(Virgo)

乙女座は、南北の天球にまたがる広い星座で、12星座の中でも2番目に広い面積を持っています。春から秋にかけて、特に夏の終わりから秋の初めにかけて最も見やすい星座の一つです。古代ギリシャでは、乙女座は穀物の女神デメテルの娘ペルセポネを象徴していたとされています。ローマ神話では、同じく穀物の女神ケレースと結びつけられています。

乙女座には、多くの明るい星が含まれていますが、その中で最も輝いているのがスピカです。スピカは全天で16位の明るさを誇る青白い巨星で、乙女座の中心に位置しています。また、乙女座には他にも二重星や変光星などが含まれており、天文学的に興味深い星座とされています。

乙女座はまた、銀河の宝庫とも言われています。これは、乙女座の方向に銀河団が多く存在するためで、その中でも乙女座銀河団は約2000の銀河が集まっているとされています。乙女座銀河団には、有名なM87やM104などが含まれています。

乙女座を見つける方法の一つは、大熊座のアークトゥルスやおおぐま座のデネブラを見ることです。これらの星を結んで三角形を描くと、その先にスピカが見つかります。

乙女座は、天文学や神話だけでなく、西洋占星術においても重要な位置を占めています。。そのため、乙女座は多くの文化で親しまれている星座となっています。

カシオペヤ座 (Cassiopeia)

カシオペヤ座は、夜空で特徴的な「W」または「M」の形をした星座として知られています。秋から冬にかけての夜空で最も見やすく、一年を通じて観察できる星座の一つです。カシオペヤ座は、ギリシャ神話において美しいカシオペア王妃を象徴しているとされ、その名前は彼女に由来しています。

カシオペヤ座には、多くの明るい星が含まれていますが、その中でも最も輝いているのがシェダルです。シェダルは、オレンジ色の巨星で、カシオペヤ座の「W」の形の中で最も明るい星となっています。また、カシオペヤ座には他にも明るい二重星や変光星が存在しており、観測者にとって興味深い星座です。

カシオペヤ座は、北極星の近くに位置しているため、北半球の観測者にとって非常に見やすい星座です。カシオペヤ座を見つけるためには、まず北極星を目印にします。北極星とカシオペヤ座は、おおよそ反対側に位置しているため、北極星を中心に円を描くように観測すれば、カシオペヤ座が見つかります。

カシオペヤ座には、さまざまな種類の天体が存在しています。その中でも特に有名なのが、超新星残骸であるカシオペヤAです。カシオペヤAは、約3万1000光年離れた位置にあると推定されており、太陽系外の電波源としては全天で最も電波強度が強い天体です。

カシオペヤ座は、その独特な形状と美しい神話の背景から、多くの観測者に愛されている星座です。また、カシオペヤ座は天の川に近いため、その周辺には多くの銀河や星雲が存在し、天文学的にも興味深い星座となっています。

こと座 (Lyra)

こと座は、夏の星空を彩る美しい星座です。こと座は古代ギリシャ神話に関連付けられており、オルフェウスが奏でた竪琴とされています。オルフェウスは、音楽と詩の神アポロンの息子であり、その竪琴の演奏は神々や人々を魅了していました。オルフェウスの妻エウリディケが亡くなった際、彼は冥府に赴き、その美しい音楽で冥府の神ハデスを感動させ、妻を生き返らせる許しを得ましたが、最後の試練で彼女を失ってしまいます。その悲劇的な物語が、こと座として天に昇ったとされています。

こと座は、夜空で最も明るい星のひとつであるベガを含んでいます。ベガは、白く輝くアルファ星で、北半球では夏の代表的な星です。また、こと座には二重星や変光星、惑星状星雲、球状星団など、様々な天体が存在しており、魅力的な星座です。

例えば、こと座ε星(エプシロン)は、有名な二重星で、望遠鏡を使って見ることができます。この星は、「二重の二重星」とも呼ばれ、4つの星が互いに引力で結びついています。また、こと座には、リング状の明るい惑星状星雲であるM57(リング星雲)もあります。この星雲は、地球から約2,300光年離れた位置にあり、まるで宇宙のドーナツのように見えることから、「ドーナツ星雲」とも呼ばれています。

こと座は、その歴史や神話、美しい天体が詰まった素晴らしい星座です。夏の夜空を見上げる際には、ぜひこと座を探してみてください。

はくちょう座 (Cygnus)

はくちょう座は、夏から秋にかけて最も美しい姿を見せる星座です。はくちょう座は、ギリシャ神話に登場する白鳥(はくちょう)とされており、ゼウスがはくちょうに変身して美しい女性レダに近づいたという物語が語られています。

はくちょう座は、天の川の中を飛ぶかのように広がっており、その姿がまさにはくちょうが空を飛んでいるように見えます。この星座には、多くの明るい星や興味深い天体が存在しており、天文愛好家にとって魅力的な星座です。

中でも、デネブは、夏の大三角の一つで、非常に明るい超巨星です。デネブは、地球から約2,600光年離れており、輝かしい青白い光で輝いています。他にもアルビレオは、美しい二重星で、望遠鏡を使って見ることができます。アルビレオは、金色の光を放つ主星と青白い光を放つ伴星があり、その色の対比が美しいとされています。

さらに、はくちょう座には、多くの星雲や星団が存在しています。例えば、はくちょう座にある北アメリカ星雲は、その形が北アメリカ大陸に似ていることから名付けられました。また、はくちょう座には、球状星団や散開星団もあり、天体観測の対象として人気があります。

はくちょう座は、美しい姿と神話、そして多様な天体が魅力の星座です。夏から秋にかけての夜空を楽しむ際には、ぜひはくちょう座を探してみてください。

さそり座 (Scorpius)

さそり座は、その形がまるでさそりのように見えることから名付けられました。日本では、夏の夜空に南東の方向に現れる星座です。さそり座は古代ギリシャ神話にも登場し、オリオン座と対になるような存在とされています。オリオンが狩りをしている姿に対し、さそり座は彼を襲うさそりの姿を象っているとされています。

さそり座には、多くの明るい星が存在しており、特にアンタレスは、さそり座で最も明るい赤色巨星です。アンタレスは、「アレス(ギリシャ神話の戦神)の対(ライバル)」を意味する名前で、オリオン座のベテルギウスとともに夜空で目立つ赤色の巨星として知られています。

さらに、さそり座には、興味深い天体がたくさんあります。例えば、M4(NGC 6121)は、地球から約7,200光年離れた位置にある球状星団で、望遠鏡を使って観測することができます。また、さそり座の近くには、有名な散開星団M6(バタフライ星団)やM7(プトレマイオス星団)があり、天文愛好家にとって魅力的な観測対象となっています。

さそり座は、夏の夜空に輝く美しい星々と神話が詰まった星座です。アンタレスをはじめとする明るい星や、球状星団、散開星団など多彩な天体が観測者を楽しませてくれます。夏の夜空を楽しむ際には、ぜひさそり座を探してみてください。

まとめ

5月の夜空は、春から夏への移り変わりを感じさせる美しい星座が並びます。おおぐま座やカシオペヤ座は、北極星を見つける手がかりとなりますし、こと座やはくちょう座は、夏の大三角を形成する明るい星が輝いています。さらに、さそり座は、南の空で独特の形状を描く魅力的な星座です。

これらの星座を見つけることは、夜空観察の楽しさを感じるだけでなく、星座を通じて自然のサイクルや季節の移り変わりを体感することができます。天気の良い夜には、ぜひ外に出て、5月の星空を楽しんでみてください。

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