今日はちょっと変わった趣味、それも宇宙に関するものについてお話しします。
その名も「コメットハンター」そう、彗星を探す人たちのことです。 夜空を見上げ、遠く宇宙の彼方にある神秘的な彗星を発見することに情熱を燃やす人々。 彼らはどのようにして彗星を見つけるのでしょうか?
この記事では、コメットハンターの魅力と、なり方について探っていきます。
宇宙の不思議を追い求める旅に、一緒に出かけましょう!
コメットハンターとは
コメットハンターは、未知の彗星を発見することを目的として天体観測に取り組む天文家や
彗星捜索家のことです。
18世紀末から多くの天文家が彗星を発見し始め、彗星捜索は専門家だけでなく、
趣味として取り組むアマチュア天文家にも広がりました。
コメットハンターの誕生
望遠鏡が発明される前は、彗星の発見は肉眼によるものでした。
1608年の望遠鏡の発明以降、暗い彗星も発見可能になり、多くのコメットハンターが登場しました。
最も早い時期のコメットハンターはメシエ天体で有名なフランスのシャルル・メシエで、
彼は少し遅れながら1759年にハレー彗星を発見し、その後も多くの彗星を発見しました。
ハレー彗星を見つけたのはエドモンド・ハレーです。その一年後にメシエも発見しました。
アマチュア天文家の活躍と彗星の発見
20世紀末まで、新しい彗星や小惑星はアマチュア天文家が大量に発見してきました。
彼らは趣味として彗星を探査し、新発見の充足感と名誉を求めて活動していました。
彗星の捜索方法としては、双眼鏡やシュミット式望遠鏡を用いた写真撮影が一般的でした。
自動捜索プロジェクトの影響
1990年代後半には、LINEARやNEATなどの自動捜索プロジェクトが始動し、暗い彗星の発見が加速しました。
これにより、アマチュア天文家による彗星の眼視発見は少々困難になりましたが、 今なお多くの彗星を発見しているコメットハンターがいます。
彗星(コメット)とは?
彗星(すいせい)は、太陽系内を飛び回る小さな天体で、氷やちりの粒でできています。
太陽に近づくと、太陽の熱で氷が溶けてガスやちりが出てきます。
これによって、彗星は一時的な雲のようなもの(コマ)と、太陽の反対方向に伸びる長いしっぽ(テイル)を作ります。 このしっぽには、白っぽいちりのしっぽと、青っぽいガスのしっぽの二種類があります。
日本では「箒星(ほうきぼし)」とも呼ばれ、英語では「comet」と表されます。
彗星の中心部分は、氷の中に小さな岩や有機物のちりが混じった「汚れた雪玉」のようなものと表現されています。
この中心部分はだいたい1キロから10キロくらいの大きさで、とても黒い表面をしています。
太陽に近づくと、中心部分から出たガスやちりが雲のようなものを作り、さらに太陽の風の影響でしっぽができます。
これによって、彗星は綺麗な尾を引いて肉眼で見ることができることもあります。
日本を代表するコメットハンター関勉さん
関勉さんは日本のアマチュア天文家で、コメットハンターとして広く知られています。高知県高知市出身の彼は、独学で天文学を学び、アマチュア天文家として多くの彗星や小惑星の発見し名前をつけました。
彗星への情熱
関勉さんの天文学への興味は、1948年に本田彗星と日食彗星の影響で芽生えたそうです。 1950年から彗星捜索を始め、一時は挫折も経験しましたが、1961年10月11日には「関彗星」と名付けられる彗星を発見しました。
これは彼にとって初めての彗星発見でした。
特に1965年に発見した池谷・関彗星は、肉眼でもはっきりと見える彗星として、 日本に天文ブームとコメットハンターブームを巻き起こすきっかけとなりました。
芸西天文台と小惑星の発見
1973年、高知市内の明かりを避けるため、関勉は芸西村に観測所を設けました。
この観測所は1981年から高知県立芸西天文学習館内の「芸西天文台」として稼働しています。
天文台の60cm望遠鏡は、関と同郷の五藤斉三が贈ったものです。 関勉は小惑星ハンターとしても活躍し、個人としてなんと223個、芸西天文台の観測者チームとして2個の小惑星を発見しました。
これらの小惑星には、日本の地名や人名、さらには漫画にちなんだ名前が付けられています。
全国のアマチュア天文学者による驚異の発見
アマチュア天文学者も、重要な彗星の発見に大きく貢献しています。
アマチュア天文学者は、独自の観測と情熱で、まだ発見されていない彗星を見つけることがしばしばあります。
例えばユージン・シューメーカーとキャロライン・シューメーカー夫妻は、アマチュア天文学者として多くの彗星を発見しました。また、日本のアマチュア天文家、岩本雅之は1996年に彗星「岩本彗星」を発見し、天文学界に大きな注目を集めました。
岩本 雅之(日本)
- 発見した彗星: 岩本彗星(C/2018 Y1 (Iwamoto))
- 発見年: 2018年
岩本雅之は、2018年12月19日に彗星を発見しました。
2019年2月13日頃に地球へ最接近しましたが、岩本彗星が太陽へ接近するのは10世紀後、今生きている人間はもう見ることはできません。徳島県の観測地から複数の小惑星や彗星を多く発見しています。
他発見した小惑星
1989 BQ彗星 | 1989年1月29日 |
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阿波彗星 | 1989年1月29日 |
三子彗星 | 1989年2月10日 |
徳島彗星 | 1988年12月12日 |
眉山彗星 | 1989年10月29日 |
土柱彗星 | 1989年1月29日 |
岩本彗星 | 2013年 |
マックホルツ・藤川・岩本彗星 | 2018年 |
本田 実(日本)
本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星
- 発見した彗星: 本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星(45P/Honda-Mrkos-Pajdušáková)
- 発見年: 1948年
本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星は本田実が倉敷市で発見した周期彗星で地球にいながら何度か見ることができる。本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星は本田実とアントニーン・ムルコス・リュドミラ・パイドゥシャーコヴァーが共同で発見した彗星です。
2011年には6月5日に21等級の明るさで確認された後9月から10月にかけて6等級まで明るくなりました。
その後2017年にも回帰し1月から3月まで6等級に達しました。
次回、地球に接近は2032年でかなり近づくことが予想されています。
本田実は私費で観測所を『星尋山荘』を開所、1990年8月26日に倉敷天文台内で死去、その後倉敷名誉市民となりました。
他発見した小惑星
S1 岡林・本田彗星 | 1940年10月3日 |
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B1 本田彗星 | 1941年1月21日 |
V1 本田彗星 | 1947年11月13日 |
L1 本田・ベルナスコーニ彗星 | 1948年6月2日 |
45P 本田・ムルコス・パイドゥシャーコヴァー彗星 | 1948年12月5日 |
G1 ムルコス・本田彗星 | 1953年4月12日 |
O1 本田彗星 | 1955年7月28日 |
H1 本田彗星 | 1962年4月28日 |
L1 富田・ガーバー・本田彗星 | 1964年6月9日 |
H1 多胡・本田・山本彗星 | 1968年4月30日 |
N1 本田彗星 | 1968年7月6日 |
Q2 本田彗星 | 1968年8月30日 |
池谷 薫(日本)
- 発見した彗星: 池谷・関彗星(C/1965 S1)
- 発見年:1965年
池谷・関彗星は当時、池谷薫が浜松市で台風の目の間から自作の15cm口径の22倍倍率の反射望遠鏡で発見、それとほぼ同時、関勉が高知県で対風雨通過後に自作の8.8cm口径の19倍屈折式望遠鏡を用いて発見しました。
その時間差は15分ほどで7~8等級で光っていたそうです。
今発見は両名とも3つ目の彗星の独立発見で2名はコメットハンターとして有名になっていきます。
まさかのラジオドラマ化や楽曲化しているのでぜひご覧ください。
池谷薫は1962年から彗星探索を開始し彗星を5年連続で新彗星を発見し続けるという偉業を果たした。
池谷薫は池谷光学研磨研究所を立ち上げ公開天文台の第望遠鏡の反射鏡を製作しています。
他発見した小惑星
A1 池谷彗星 | 1963年1月2日 |
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N1 池谷彗星 | 1964年7月3日 |
S1 池谷・関彗星 | 1965年9月18日 |
R1 池谷・エバーハート彗星 | 1966年9月8日 |
Y1 池谷・関彗星 | 1967年12月28日 |
池谷・張彗星 | 2002年2月1日 |
池谷・村上彗星 | 2010年11月2日 |
デビッド・H・レヴィ(アメリカ)
- 発見した彗星: シューメーカー・レビー9彗星(D/1993 F2)
- 発見年: 1993年
デビッド・H・レビーは、ジュネーブ・シューメーカーとキャロライン・シューメーカーと共にこの彗星を発見しました。この彗星は、木星に衝突し、天文学の分野で大きな注目を集めました。
トーマス・ボップ(アメリカ)
- 発見した彗星: ヘール・ボップ彗星(C/1995 O1)
- 発見年: 1995年
トーマス・ボップは、アラン・ヘールと同時にこの彗星を発見しました。
ヘール・ボップ彗星は20世紀で最も明るい彗星の一つとされ、長期間にわたり肉眼で観測可能でした。
アマチュア天文学者による彗星の発見は、プロの研究者と同様に重要であり、天文学の分野に新たな発見をもたらしています。
【初心者向け】コメットハンターになるためには
コメットハンターになるには、天文学の知識と観測技術が必要です。
彗星を発見するには、天体の動きを理解し、正確な観測が求められます。
現在はほとんどの彗星が発見済みとされていますが、太陽系の果て「オールトの雲」にはまだまだ未発見の彗星があるのではないかと予想されています。現代のコメットハンターは、こうした「オールトの雲」から来た彗星を望遠鏡や写真撮影技術を駆使して新しい彗星を探しています。
天文学の基礎知識と観測技術の習得は、コメットハンターになるための第一歩です。
初心者コメットハンターの必須アイテム
望遠鏡
天体観測に適した望遠鏡を選びましょう。
できるだけ口径が大きく高性能な天体望遠鏡で観測するとその分、彗星を見つけられる可能性が高まります。
星図または天文アプリ
星座や天体の位置を特定するために必要です。スマートフォン用の天文アプリも便利です。
カメラ(天体写真用)
望遠鏡に取り付け可能な天体写真用カメラは証拠を残しておくのに必要です。
彗星を見つけたらはっきりわかるようなカメラで撮影しましょう。
まとめ
コメットハンターというのは、ただの趣味を超えた、宇宙への深い愛と好奇心を持った人々のことでしたね。
夜空を眺めるたびに、新たな発見が待っているかもしれないというワクワク感。
そして、自分の目で見た彗星が、いつか科学や歴史に名を刻むかもしれないという期待。 これらは、コメットハンターになる大きな魅力です。ぜひ天体観測を開始してコメットハンターになり自分の名前になりましょう
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