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星雲とは?わかりやすく解説!3種類の星雲|散光星雲・惑星状星雲・暗黒星雲の違いとは

星雲とは、文字通り「星の煙」とも呼ばれる、宇宙の中での美しいガスや塵の雲のことを指します。ほとんどの星雲は、星の誕生や死によって作られています。

具体的には、星が誕生する際、ガスや塵が集まり、重力によって密集することで星雲が形成されます。望遠鏡を通じて星雲を観測すると、その美しい色や形が楽しめます。特に、銀河系内でよく見ることができる天体としても知られています。

今回はわかりやすく3つに分けてわかりやすく解説していきます。

大まかに散光星雲、惑星状星雲、暗黒星雲の3つに分けられています。

もくじ

『散光星雲』

NASA-オメガ星雲 (M17, Omega Nebula)

散光星雲は、主に水素ガスでできた星雲で、生まれたての星によって照らされて発光しています。多彩な色合いと複雑な形をしており、特に赤や青の明るい色で輝くことが多いです。

散光星雲は、新しい星が生まれる場所としても知られています。このような星雲の中で、ガスや塵が徐々に集まって新しい星が誕生するのです。

実際にどんな散光星雲があるのか見ていきましょう。

オリオン座の大星雲(M42)

発見者: ガリレオ・ガリレイ
見かけの等級: 4.0

オリオン座の剣の部分にある明るく広がる星雲。冬の夜空で簡単に観測できます。

オリオン大星雲(M42)は、オリオン座のベルトからほど近い位置に存在する明るい星雲で、裸眼でも都市の光の影響を受けない場所であれば確認することができます。望遠鏡を使用すれば、この星雲の壮大な詳細や絵画のような美しさを楽しむことができます。

M42は、約1,300光年離れた位置に存在し、新しい星々が生まれる活発な星形成領域として知られています。星雲内の若い、熱くて明るい星々によって、ガスと塵が照らし出され、その結果として我々はこの星雲の輝きを観測することができます。星雲の中心部には、若い星からなる「トラペジウム」と呼ばれる星のクラスターがあり、これが星雲を明るく照らしています

いっかくじゅう座のばら星雲(NGC2237-9)

発見者: ルイス・スウィフト
見かけの等級: 9.0

ばら星雲は、いっかくじゅう座に位置する美しい散光星雲であり、その名前は星雲が赤いバラの花のように見えることから名付けられました。この星雲は、約5,000光年の距離に存在しています。

ばら星雲の中心部には、若くて明るい星々が存在し、これらの星からの強力な紫外線が、周囲のガスを発光させています。この結果、星雲全体が独特の赤みを帯びた輝きを放っているのです。

オリオン座のウルトラの星(M78)

発見者: ピエール・メシャン
見かけの等級: 8.3

M78星雲は、オリオン座に位置する散光星雲で、オリオン大星雲の北東約2度の位置にあります。距離的には、約1,600光年離れています。この星雲は、青く輝く星の光が周囲のガスや塵に反射して見える、反射星雲としての性質を持っています。

M78星雲は「ウルトラの星」と呼ばれており、ここにウルトラマンたちが生まれた星があるとされています。

『惑星状星雲』

亜鈴星雲

惑星状星雲は死にゆく星が最後のガスを放出することで形成される星雲。その名前は、望遠鏡で見た時に、丸くて惑星のように見えるためです。

丸く、しばしばリング状に見えることが特徴。

赤い巨星が最後の段階になると、外層のガスを放出。この放出されたガスが光って見えるのが惑星状星雲です。

実際にどんな惑星状星雲があるのか見ていきましょう。

こと座の環状星雲(M57)

発見者: アントワーヌ・ダレンベール
見かけの等級: 8.8

別名リング星雲とも呼ばれています。こと座の環状星雲、またはM57としても知られるこの星雲は、中心部が空っぽの環状の形をしていることからその名がつけられました。

距離的には、約2,300光年離れています。実はこの「空っぽの環」は、死にゆく星から放出されたガスと塵で形成されており、惑星状星雲の典型的な例とされています。太陽のような星が寿命を迎える際に形成されるもので、中心には白色矮星という残りカスのような星が存在します

おおぐま座のふくろう星雲 (M97)

発見者: ピエール・メシャン
見かけの等級: 11.2

ふくろう星雲(M97)はおおくま座にあるもう一つの惑星状星雲です。約2,000光年の距離に位置しています。この星雲は、2つの明るく暗い「目」が特徴的で、これが「ふくろう」という名前の由来となっています。実際には、この「目」は中心の星から放出されたガスの流れが形成しているものと考えられています。

ふくろう星雲もまた、太陽のような星が進化の最終段階にあたる赤色巨星から白色矮星になる過程で放出されるガスと塵によって形成されるものです。

こぎつね座の亜鈴状星雲(M27)

発見者: シャルル・メシエ
見かけの等級: 7.5

亜鈴状星雲(M27)はこぎつね座に存在する惑星状星雲で、約1,200光年の距離にあります。この星雲は、中心部が長く伸びている亜鈴の形状をしていることからその名がつけられました。

実は、これも死にゆく星から放出されたガスと塵が太陽風の影響を受けてこの特徴的な形を作り出しています。中心部には、この星雲を形成した原因となったと考えられる熱い白色矮星が存在します。M27は、明るさと比較的大きなサイズのため、アマチュア天文家にも人気のある天体の一つです。夏の夜空で観測することができる美しい星雲です。

『暗黒星雲』

馬頭星雲

何か暗黒星雲は、他の発光する星雲の背景にある、ガスや塵によって形成される暗い部分のことを指します。これらは、背後の明るい星雲や星の光をブロックして、暗く見える特徴があります。

見え方背後の発光する星雲や星と対照的に、暗いシルエットとして目立ちます。

光を透過させない密なガスや塵から成る星雲。しばしば、形状や特徴から名前が付けられます

実際にどんな暗黒星雲があるのか見ていきましょう。

オリオン座の馬頭星雲(Barnard33)

発見者: ウィリアムィーナ・フレミング

馬頭星雲、またはBarnard 33として知られるこの星雲は、オリオン座の方向、約1,500光年離れた位置に存在します。

鮮明な赤い発光星雲の背景に、馬の頭を思わせる暗黒のシルエットが浮かんでいることから、この名がつけられました。実際、この暗黒の部分は、背後の星からの光を遮る巨大な塵の雲で、新しい星々の誕生の場ともなっています。

いっかくじゅう座のコーン星雲(NGC2264)

発見者: シャルル・メシエ

いっかくじゅう座のコーン星雲(NGC 2264)は、その名の通り、コーンのような形をしていることからその名がつけられました。

この星雲は、散光星雲と暗黒星雲の複合体であり、約2,700光年の距離に位置しています。

コーン星雲の内部では、新しい星の誕生が活発に行われており、この若い星々からの放射により、星雲が美しく発光しているのです。クリスマスツリー星団とも呼ばれています。

みなみじゅうじ座のコールサック星雲(caldwell99)

発見者: バーナード・カルドウェル

夜空の中で最も暗い星雲の一つです。コールサック星雲は、南半球の星座、みなみじゅうじ座に位置する暗黒星雲です。約600光年の距離にあり、その名前は「大きな袋」を意味するフランス語から名付けられました。

この星雲は、背後にある明るい星々の光を遮る巨大な塵の雲で、これにより天の川の一部が暗く見える原因となっています。コールサック星雲は、南半球から見ると、天の川の中に存在する巨大な「暗い穴」として非常に目立ちます。

星雲の役割と重要性

新しい恒星の誕生の舞台

星雲は、新しい恒星が生まれる場所としての役割を果たしています。

星雲が主にガスと塵で構成されており、このガスと塵が重力の影響で収縮・集約されることで、恒星となる核が形成されるためです。特に散光星雲や暗黒星雲では、このような星の誕生が盛んに行われています。

新しい恒星の誕生は、銀河の進化や存続にとっても極めて重要であり、星雲がその舞台となっています

物質の循環とエネルギーの放出

恒星が死を迎える際に放出されるガスや塵は、新しい星雲を形成する原材料となります。

また、発光星雲は、中心に位置する若い星々から放出される強い放射によってガスが発光し、これによってエネルギーが宇宙空間に放出されます

このように、星雲は物質とエネルギーの循環において中心的な役割を果たしています。

宇宙の進化と成り立ちの手がかり

星雲の研究は、宇宙の成り立ちや進化を理解する上で非常に重要です。

星雲の形成や構造、内部での物理的なプロセスは、銀河や星々の進化の手がかりとなります。

例えば、惑星状星雲は、太陽のような恒星が進化の最終段階に達した際の姿を示しており、恒星の寿命や進化の過程を学ぶ上で欠かせない情報源となっています。

星雲観測のヒント

星雲は、彼らの美しさと宇宙の謎を解明する鍵としての役割から、多くの天文愛好家にとって注目の天体となっています。星雲をより美しく、そして効果的に観測するためのヒントをまとめました

害の少ない場所を選ぶ

都市部や照明が多い場所は、光害のため星空が明るくなり、星雲の細部まで見ることが難しくなります。星雲の観測には、暗い場所や遮るもののない広い空が理想的です。

特に高山や郊外、海沿いなどの開けた場所がおすすめです。

望遠鏡の活用

裸眼で星雲を観測することも可能ですが望遠鏡を利用することで、星雲の詳細な構造や色を鮮明に観察することができます。

特に大口径の望遠鏡や反射望遠鏡を使用すると、淡い部分や細かい構造を捉えることが可能となります。

目の暗闇適応

暗い場所に移動した直後は、目はまだ明るさに慣れているため、細かい天体を観測するのは難しいです。

観測する前に、十分な暗所で10〜15分ほど待機することで、目が夜の暗さに慣れ、より多くの星や星雲を鮮明に見ることができます。

観察のヒント

星雲の観測には、特定のフィルターを使用することで、一部の波長の光だけを通過させて、星雲の詳細をより鮮明に観察することもできます。市販されている天文用フィルターを活用すると、観測の幅が広がります。

星雲の観測は、天文学の魅力を感じる最も素晴らしい方法の一つです。

上記のヒントを参考に、美しい星雲の世界を楽しんでください。

まとめ

星雲は宇宙の神秘的な風景の一部であり、様々な形や特性を持つものが存在します。

散光星雲、惑星状星雲、暗黒星雲はその中でも代表的なものであり、それぞれ異なる成り立ちや役割を持っています。星空観測の際には、これらの星雲を探してみると、宇宙の深さや広がりを感じることができるでしょう。

星雲は新しい星の誕生の場としての役割や宇宙の物質の循環を支える要素としての重要性を持ちます。また、その美しい姿は、宇宙の進化と複雑さを物語っています。暗闇の中で、望遠鏡を通してその美しさを捉えることは、私たちが宇宙の一部であることを感じさせてくれる貴重な体験となりますので、ぜひ観察準備を整えて天体観察を行いましょう

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